悪癖のおかげで風に吹かれて本を読む


一昨日の金曜日の午後、徒歩とバスで眼鏡店に行ったのですが、
失敗をやらかしました。
バス停から眼鏡店に行く途中に図書館があるので、
尾崎放哉や自由律俳句関係の本を三冊予約しておきました。
ところが、図書館の入口まで来たら、休館。
事前にネットで確かめた際、「毎週火曜日」にだけ目が行き、
「毎月最終金曜日」は見落としていたのです。

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中途半端に確かめて安心し、その先を見落とす。
長年矯めることができずにいる私の悪癖のひとつです。

眼鏡店で検眼およびフレーム選びが終わり、店を出ると、
40分に一本しか来ないバスは行ってしまっているはずの時刻。
図書館で時間調整をする心づもりだったけれど、それができない。
しかし、図書館の前に戻ってきた際、
外の広いスペースにベンチがいくつもあることに気づきました。
で、そのひとつに腰を下ろし、持ってきていた読みかけの本を読むことに。
吉村昭さんの掌編小説集『天に遊ぶ』(新潮文庫、2003年)です。

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読み始めると、そのスペースに自分以外には誰もおらず、寒くも暑くもなく、
晴れているが白んだ空の下、日が適度に差し、吹く風がさやかに感じられ、
実にいい気持ち。

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読み始めたのは、頭から六番目の「梅毒」。
さやかな風に似合わぬタイトルの一編で、ひやひやしながら読み進めるも、
最後はすっきり爽やか。

最後の二行――

 「本当によかったですね」
  私は、不意に涙が出そうな予感がし、庭の緑に眼をむけた。

読みながら私も「本当によかった」と思い、
それとともに涙が出そうになった。

そのとき、ちょっと離れたところから聞こえる音で我に返り、
誰かが歩いてくると思い、赤面する思いでその方向を見ると、誰もいない。
一瞬「???」となったが、それは砂利が埋め込まれた地面の上を
枯葉が風で移動する音でした。

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そうと分かって聞くとその「カサ、カサカサ、……」という音は、
周囲の木々や強すぎない日の光と調和し、妙に面白く感じられました。

本に戻り、次の一編「西瓜」を読み終わったところでちょうどいい時間になったので、
腰を上げてバス停へと向かいました。

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二日後の今日は、予約本の取り置き期限日。
どうせならと思い立ち、初めて自宅からその図書館まで歩いて行き、
この三冊を借りてきました。

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片道一時間ほどかかり、帰りはバスを使いました。
帰る道々、二日前のことが思い出され、書きたくなった次第です。
午後の奇妙なひととき、これもまた怪我の功名だったかもしれません。


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by chronoir2023 | 2026-03-29 19:27 | 読書 | Comments(0)

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