悪癖のおかげで風に吹かれて本を読む
2026年 03月 29日
一昨日の金曜日の午後、徒歩とバスで眼鏡店に行ったのですが、
失敗をやらかしました。
バス停から眼鏡店に行く途中に図書館があるので、
尾崎放哉や自由律俳句関係の本を三冊予約しておきました。
ところが、図書館の入口まで来たら、休館。
事前にネットで確かめた際、「毎週火曜日」にだけ目が行き、
「毎月最終金曜日」は見落としていたのです。
中途半端に確かめて安心し、その先を見落とす。
長年矯めることができずにいる私の悪癖のひとつです。
眼鏡店で検眼およびフレーム選びが終わり、店を出ると、
40分に一本しか来ないバスは行ってしまっているはずの時刻。
図書館で時間調整をする心づもりだったけれど、それができない。
しかし、図書館の前に戻ってきた際、
外の広いスペースにベンチがいくつもあることに気づきました。
で、そのひとつに腰を下ろし、持ってきていた読みかけの本を読むことに。
吉村昭さんの掌編小説集『天に遊ぶ』(新潮文庫、2003年)です。
読み始めると、そのスペースに自分以外には誰もおらず、寒くも暑くもなく、
晴れているが白んだ空の下、日が適度に差し、吹く風がさやかに感じられ、
実にいい気持ち。
読み始めたのは、頭から六番目の「梅毒」。
さやかな風に似合わぬタイトルの一編で、ひやひやしながら読み進めるも、
最後はすっきり爽やか。
最後の二行――
「本当によかったですね」
私は、不意に涙が出そうな予感がし、庭の緑に眼をむけた。
読みながら私も「本当によかった」と思い、
それとともに涙が出そうになった。
そのとき、ちょっと離れたところから聞こえる音で我に返り、
誰かが歩いてくると思い、赤面する思いでその方向を見ると、誰もいない。
一瞬「???」となったが、それは砂利が埋め込まれた地面の上を
枯葉が風で移動する音でした。
そうと分かって聞くとその「カサ、カサカサ、……」という音は、
周囲の木々や強すぎない日の光と調和し、妙に面白く感じられました。
本に戻り、次の一編「西瓜」を読み終わったところでちょうどいい時間になったので、
腰を上げてバス停へと向かいました。
二日後の今日は、予約本の取り置き期限日。
どうせならと思い立ち、初めて自宅からその図書館まで歩いて行き、
この三冊を借りてきました。
片道一時間ほどかかり、帰りはバスを使いました。
帰る道々、二日前のことが思い出され、書きたくなった次第です。
午後の奇妙なひととき、これもまた怪我の功名だったかもしれません。
by chronoir2023
| 2026-03-29 19:27
| 読書
|
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