かつては聞えなかった「ぶんぶ」
2024年 05月 17日
妻が実家に帰っているので、いつもは妻がやっている作業を私がしています。
その一環として、普段は余り出ないベランダに出ることが多くなります。
洗濯物を干したり、植物への水やりをしたりしますので。
妻がベランダで何かをするとき、
ガラス戸あるいは網戸をこまめに閉めはしないので
蚊が入ってくることが結構あります。
こまめに締めればいいものをと思うことがあるのですが、
いざ自分がやってみると、なかなかそんなことできやしない。
勝手なものです。
洗濯日和の今日、洗濯したものをベランダに干したのですが、
やっぱりこまめな人になれず、蚊に入られてしまいました。
机に向かって仕事をしていると、ブーンという音とともに私の顔の近くを断続的に飛び回ります。
小煩いといったらありゃしない。両手のひらでバチンパチンとやるのですが、なかなかやっつけられません。
それどころか、刺されました。全く忌々しい!
忌々しがっているうちに或ることを思い出しました。
私は自分は耳が遠いと思ったことはありません。
少なくとも若い頃は人並以上に敏感な方だったと思います。
しかし、子供の頃、さらに大人になってからも結構長い間、
蚊の飛ぶ音を耳にしたことがなかったのです。
松平定信の寛政の改革を揶揄した歌を子供の頃知りましたが、
そのオモテの内容が私には解せませんでした。
世の中に 蚊ほどうるさきものはなし
ぶんぶといふて 夜もねられず
蠅や蜂が飛ぶ音は普通に耳にしていましたが、
蚊の飛ぶ音は聞いたことがなかったからです。
子供の頃、今よりも蚊はずいぶん多かった。
刺される頻度も今よりずっと高かった。
それでも、蚊の飛ぶ音を聞いたことはありませんでした。
ところが、二十年余り前、四十歳代で結婚してしばらく経った頃にはじめて耳にしました。
布団に寝ていて顔の周りを「ぶんぶ」と飛ぶのです。
近づいたり遠ざかったりするので、大きくなったり小さくなったりします。
やっと静かになったかと思っていると、そのうちまたやってきます。
その時はじめて「世の中に……」の歌のオモテの内容が腑に落ちました。
そして、それ以降は蚊の飛ぶ音が聞えるようになりました。
別に嬉しくはありませんが、捕まえる頻度が多少は高まるという利点はあります。
ちょうど今も左の耳に近づいてきました。音だけで分ります。
また捕まえられなかった……。
見れども見えずということがあるように、
聞けども聞えずということだったと思われます。
いったんその像が見えれば、それまでは見えなかったそれがその後は見えるようになり、
いったんその音が聞えれば、それまで聞えなかったそれがその後は聞えるようになる。
そういうことなのでしょう。
他のいろいろな事象に通じることのように思われます。
うとうととすると、ぶ~ん、ぴしゃッとたたくも痛いのは自分の頬だけ、嘲笑うようにぶ~ん、腹が立ったのも懐かしい子供のころです。
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佐平次さん、コメントをありがとうございます。
子供の頃私もピシャッとやっていました。
でも、音ではなく姿のみを頼りにやっていたようです。
ぶ~んに苛つかせられている今の私からすると、なんとも不思議です。
子供の頃私もピシャッとやっていました。
でも、音ではなく姿のみを頼りにやっていたようです。
ぶ~んに苛つかせられている今の私からすると、なんとも不思議です。
by chronoir2023
| 2024-05-17 20:04
| 不思議な出来事
|
Comments(2)







