長編2作を一気読み
2024年 05月 04日
一か月半不在だった妻が一週間ほど前に戻ったことに加えて、
十日ほど前に手持ちの仕事が終わったので、久々にヒマです。
フリーランスなので、もともと連休だからといって遠出する習慣はありません。
さてどうするか、図書館にでも行くか、ということで数日前図書館に行き、
『冒険の森へ 傑作小説大全5 極限の彼方』(集英社、2015年)を借りてきました。
サーベルタイガーさんのブログ<砦なき者に花束を>で紹介されていて、
読んでみたくなったのです。
アンソロジー本で、掌編4,短編6,長編2からなっています。
まず掌編四つを読んだのですが、正直のところ、あまり面白くなかった。
短編は飛ばして、次に長編、田中光二の『大いなる逃亡』を読みました。
文章、とくに会話文に気恥ずかしくなる箇所が多く、
多少の不満を感じながら読みましたが、
一日半で読んでしまったのですから、
十分に面白かったのです。
ただし、次々に、あまりに軽く、しかし残虐に人が殺されていき、
それが作品の安っぽさを感じさせました。
それは作者の狙い通りだった可能性もありますが……。
なお、この小説、物語の先を含めると、主要人物が全員命を落とすことになります。
そういう小説を他にも読んだことがあるような気もしますが、今は思い当たりません。
ところで、この小説、上記とは別の次元で、
私に衝撃をもたらしました。
PF=ポリティカルフィクションの面目躍如、です。
旅客機が孤島に不時着し、乗員乗客の多くが死を免れるのですが、
その島には秘密があり、その秘密をまもるために自衛隊がやってきて、
生き残った人々をサブマシンガンと火炎放射器で殺害します。
その秘密には、ウイルス兵器が絡んでいます。
日航機123便の事件は1985年です。
新型コロナウイルス・同ワクチン事件(あえて事件と呼びます)は、ここ数年のこと。
この小説を読んでいると、その二つの事件が強く意識されてきて、
デジャヴのような不思議な感覚に襲われました。
この小説の発表は1975年です。
不思議な気持になります。
この小説を読んだ後すぐに、もう一つの長編、
新田次郎の『八甲田山死の彷徨』を読み始めました。
ジャンルが違うので比較には無理があるでしょうが、
こちらは地の文も会話文も文章としてしっかりしていて、
安心して読めました。
ただし、内容は安心どころではありません。
『大いなる逃亡』以上に夢中で読み、丸一日で読み終わりました。
充実した時間を得ました。
映画版は昔見たことがあります。
回想シーンの少年の演技ともいえない演技に違和感があったこと、
神田大尉の奥さん役の栗原小巻に華がありすぎてミスキャストに思われたこと、
音楽がワンパターンに感じられて煩わしかったこと、
の三点を除けば、よくできた映画という印象を受けました。
今回原作を読んで、映画が原作に比較的忠実に作られていたことを知り、
この小説をよくあそこまで映画にできたものだ、
並大抵の苦労ではなかったろうと思いました。
田中光二も新田次郎も、今回初めて読みました。
前者の他の本も読んでみようという気にはなりませんでしたが、
新田次郎の本はもっと読んでみたくなりました。
by chronoir2023
| 2024-05-04 20:06
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