隙間に咲くスミレ
2024年 04月 10日
もう三十年近く前、
「涙の数だけ強くなれるよ、アスファルトに咲く花のように」で始まる歌がヒットしました。
カラオケで一回だけ歌ったことがあります。
拙宅の狭い敷地の外側の縁、ブロック塀とアスファルトの隙間からよく植物が生えてきます。
妻が掃除のついでにたいてい抜いてしまうのですが、
今年の二月頃、緑が残っているのに気づいて、
「これは抜かないの?」ときいたら、
「それって、たぶんスミレだよ、わざと抜かないで様子見」
とのことで、ほっていました。
今日、ふと思い出して様子を見てみると、
咲いていました、一輪だけひっそりと。
これって、スミレ?
妻がいればそうきくのですが、
母親が入院したため、もうまるひと月実家に帰ったままです。
やむなくネットで画像検索してみると、やはりスミレのようです。
あまりいい写真が撮れませんが、角度を少しだけ変えてもう一枚。
小さく、弱々しく、でも、可憐に咲いています。
柄にもなく、いとおしく感じます。
恥ずかしいことに、私はスミレがどんな花か知りませんでした。
名前は知っていましたし、スミレ色がどんな色かもだいたいは分っていました。
でも、六十数年も生きてきて、スミレをスミレとだ分って見たことがありませんでした。
十代の頃から、モーツァルト好きの私は、
ゲーテの詩にモーツァルトが作曲した歌「すみれ」を知っていました。
レコードでもCDでも実演でも満足できる演奏に出会ったことがないのですが、
作品自体は、素晴らしく、
切なく美しい曲、小さな宝石のような曲……、そう思っていました。
しかし、スミレがどんな花か知らないで、
「切なく美しい曲」だなんて、いい加減にもほどがある……!
羊飼いの少女に摘んでもらい、その胸に抱かれることを望んだスミレ。
しかし、少女はスミレに気づきもせず、踏みつけて通り過ぎてしまいます。
あの人に踏まれて死ぬのだから、私は仕合せ、スミレはそう叫んで息絶えます。
ゲーテの詩だけでは足りず、
モーツァルトは最後に二行つけ足しています。
Das arme Veilchen!
Es war ein herzig's Veilchen.
かわいそうなすみれ!
可憐だったすみれ。
可憐なスミレの花。
ジジイの私が摘んで胸に抱くわけにはいきません。
せめて、踏まず摘まず、寿命を全うしてもらおうと思います。
by chronoir2023
| 2024-04-10 20:16
| 花
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