ヘッセの『シッダールタ』からの言葉


昨日、小説の中の私の好きな言葉を引用したのですが、
そういうことをしたら、他の言葉も引きたくなってしまいました。

で、今日はこれです。

 究極まで苦しみ抜かれ、解決されなかったことは、
 すべてふたたびやって来た。くり返し、同じ悩みが
 苦しまれた。
 (ヘルマン・ヘッセ『シッダールタ』高橋健二訳、新潮文庫、1971年)

昨日引用したのは『カラマアゾフの兄弟』中の言葉でした。
ドストエフスキーのその小説とは違い、
ヘッセのこの小説は三十歳代半ばに読みました。

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二十代半ばまでの私はとんでもなく脆弱な精神の持ち主でした。

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いやいや通った大学を何とか卒業し、恐る恐る社会に出て、
恥ずかしい失敗を繰り返してその歳になり、
どうにか半人前+αの大人になったつもりでいました。

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そんな私の胸に『シッダールタ』の言葉は、痛切に響きました。

過去の自分と現在の自分とを比べるから随分ましになったと思うのだ、
世間のまともな人と現在の自分とを比べてみろ、
とんでもない勘違いではないか……。
そう気づかされました。

自分の外の問題に関しては、私個人にできることは極めて限られます。
しかし、自分自身の精神に関しては、できることがあるはずです。
それどころか、自分が自力でどうにかしうる唯一の対象、それが自分の精神、
とさえ言えます。

<でも、この程度であっても、昔に比べたら随分ましになった>という実感と、
<いや、この先まだまだ道は遠い、それどころか、死ぬまでずっとだ>という恐ろしい実感が
ともにやってきました。

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そんな実感を今日久しぶりに思い出しました。

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次に思い出すのは、いつになることやら……。

そんなだから、「解決されなかったことは、すべてふたたびやって来」るのです。
あ~あぁ。



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by chronoir2023 | 2024-01-21 21:34 | 読書 | Comments(0)

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