印象深いイワン・カラマアゾフの言葉


久々に仕事が来て、このあと10日ほどはそれとの格闘です。
今日の夕方、その格闘に疲れ、気晴らしでもするかと、
書棚の本を次々に引っぱり出して適当に頁をめくっていたら、
しばらくぶりにこの台詞を目にしました。

 お前がこの世のどこかに生きている――こう思うだけで十分だ。
 人生にあいそをつかさずにいられるんだよ。
 (ドストエフスキー『カラマアゾフの兄弟(二)』原久一郎訳、新潮文庫、1961年、246頁)

あーっ、と思いました。
中学生の時に初めて『カラマアゾフの兄弟』を読んだときから、
心ひかれている台詞です。

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カラマアゾフの三人兄弟の次男イワンが、
弟のアリョシャに言う言葉です。

長男ドミイトリイ(ミイチャ)は直情径行ののんだくれ、
次男イワンは大卒の陰鬱なインテリ、
三男のアレクセイ(アリョシャ)は善良な修道僧です。

こういう台詞を相手に言うかどうかは別にして、
そのように思える人に出会えたら素晴らしいなどと
十代の頃思っていました。

そのころ、昔小学生の時に教科書で読んだ、
ホーソンの短篇「いわおの顔」を思い出し、
<いわおの顔>の人にいつか会いたいものだと思っていたら、
いつのまにか自分自身がそういう人になっていた、なんてことが
万に一つでもあったら、もっと素晴らしいなどという
気持の悪いことをふと思ったこともありました。

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この本だと「大いなる岩の顔」。あまり冴えないタイトル……。


これまでにも素晴らしい人に出会ったことがないわけではありません。
でも、この台詞の対象になるような人には出会ったことがありません。
妻は「この世のどこか」ではなく、同じ家に一緒にますので、
もとからあてはまりません。
私をそのように思ってくれる人は、無論いるはずがありませんし、
もしいたら、よほど人を見る目がない人だと私は思ってしまうでしょう。

この台詞を書いたドストエフスキー、現実の誰かを想定していたのか、
空想していただけなのか……。

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いずれにしても、私にとってこれは、
めったにない名台詞です。


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by chronoir2023 | 2024-01-20 20:24 | 読書 | Comments(0)

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