東屋とデミアン、どちらも傑物
2023年 12月 22日
還暦を過ぎてからでしょうか、
知らない誰を見ても知っている誰かを思い出し、
何を見ても知っている何かを思い出すことが多いのです。
困るのは、今見ている人が思い出させるのは誰なのか、
今見ているものが思い出させるのは何なのか、
それを思い出せないことが、これまた多いこと。
実に忌々しく、悩ましい。
人の場合は、顔は思い出しても、名前が思い出せない。
妻も知っている有名人や共通の知人なら
妻の協力を仰いで解決することもありますが、
二人とも思い出せなかったり、
私しか知らない人だったりすると、お手上げ。
50音の「あ」から順に思い浮かべてたどり着くこともありますが、
ついにたどり着けなかったり、何日も経ってから不意に思い出したりします。
さて、今年の8月、さくらんぼさんがブログ「もちろんしあわせ」で
紹介されていた『テッパン』という小説を図書館で借りて読みました。
面白かったので、その後妻に「また貸し」したら、
妻も面白かったとのこと。
さくらんぼさん、ありがとうございました!
さて、問題はそのあとです。
この小説、何かを思い出させたのです。
そのことが妙に心地よく、よけいに惹かれたような気がしました。
ところが、その何が何なのか思い出せません。
そのうち忘れていたのですが、数日前、書棚にハタキをかけていたら、
たぶんこれだ、というものが目にとまりました。
ヘルマン・ヘッセの『デミアン』です。
就職した会社で営業部員となり、
営業活動で走り回っていた頃に読んだ小説です。
『デミアン』は、生真面目な内容でスピリチュアルっぽい小説です。
今はどうか分かりませんが、当時の私の心には強く響きました。
慣れない仕事で生じた不安と興奮も一緒に思い出され、
しばし遠い気持になりました。
『テッパン』は、真面目ではあっても、生真面目な内容ではないし、
スピリチュアル系でもありません。
『デミアン』より比較を絶して読みやすく、親しみやすい。
しかし、大枠は似ています。
不良少年に脅されて困っている主人公を
大人びた少年が助け、その少年は主人公の
「友であり導き手」(『デミアン』最後の一文中の語)となる。
「大枠」とはそのことです。
大人びた少年は、『テッパン』では東屋(あずまや)、
『デミアン』では、マックス・デミアンです。
著者の上田さんは、意識的にであれ無意識的にであれ、
『デミアン』に影響を受けたのかも知れません。
もちろん、そうであっても、全く構わない。
なぜなら、『テッパン』は面白く、よくできた小説で、
私を楽しませてくれたからです。
最後にはなんと、私をしてうるうるせしめることまでしたのです。
『デミアン』にはできなかったことです。
ちなみに、さくらんぼさんが褒めておられた同じ著者の『銀座「四宝堂」文房具店』も、
そのあと少し経ってから読みました。
この本は図書館で予約が一杯で当分借りられそうになく、
『テッパン』が気に入ったこともあって、購入しました。
十分面白く読みましたが、『テッパン』に比べると、今ひとつに感じられました。
<狙いすぎ>ではないか、読みながら何度か、あるいは何度も、そう思わせられてしまい、
そのことが気持ちよく読むことをいくらか邪魔しました。
好評で二冊目が出ていることを今日知り、図書館で検索すると、
まだ予約が20件以上の一冊目よりも予約がかなり少なく9件。
これなら待てそうなので、予約しました。
一冊目より面白かったら買うつもりです。
ところで、懐かしくて『デミアン』を拾い読みしていたら、
「えーっ」と思った箇所が二箇所ありました。
小ネタの類いで、どちらも全く記憶していませんでした。
少々長くなりました。
今日はここまでにして、近日中に続きを書くことにします。
私も読んでみようかな、「デミアン」
同じです、私も『銀座「四宝堂」文房具店』が図書館で借りられなくて、これは買いました。
でも、「テッパン」の方がいいと思います、私も。
今年読んだ小説の中では、結構心に残っているものの一つです。
同じです、私も『銀座「四宝堂」文房具店』が図書館で借りられなくて、これは買いました。
でも、「テッパン」の方がいいと思います、私も。
今年読んだ小説の中では、結構心に残っているものの一つです。
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さくらんぼさん、コメントをありがとうございます。
ネットで公開されている著者へのインタビューと担当編集者のコラムを読みますと、
『銀座「四宝堂」文房具店』は、『テッパン』とは創作の経緯が大きく違うことがわかります。
そういう作り方をするとこうなってしまうのか……、と私は妙な具合に納得しました。
https://shosetsu-maru.com/column_editors/2022-10-04
https://business.nikkei.com/atcl/plus/00062/030900001/
『デミアン』の新潮文庫版は、格調は高いですが、とっつきにくい感じがします。字が小さいし。
正直のところ、私は拾い読みはできても、全編をベタで読みなおす気にはなれませんでした。
確かめたい箇所があって昨日図書館で借りてきた光文社古典新訳文庫版の『デーミアン』は、
まだぱらっと頁をめくっただけですが、かなり読みやすいように見受けられます。字が大きいし。
全編を読むために借りたわけではないのですが、これなら今の私でも読めそうな気がします。
ネットで公開されている著者へのインタビューと担当編集者のコラムを読みますと、
『銀座「四宝堂」文房具店』は、『テッパン』とは創作の経緯が大きく違うことがわかります。
そういう作り方をするとこうなってしまうのか……、と私は妙な具合に納得しました。
https://shosetsu-maru.com/column_editors/2022-10-04
https://business.nikkei.com/atcl/plus/00062/030900001/
『デミアン』の新潮文庫版は、格調は高いですが、とっつきにくい感じがします。字が小さいし。
正直のところ、私は拾い読みはできても、全編をベタで読みなおす気にはなれませんでした。
確かめたい箇所があって昨日図書館で借りてきた光文社古典新訳文庫版の『デーミアン』は、
まだぱらっと頁をめくっただけですが、かなり読みやすいように見受けられます。字が大きいし。
全編を読むために借りたわけではないのですが、これなら今の私でも読めそうな気がします。
by chronoir2023
| 2023-12-22 20:42
| 読書
|
Comments(2)





