フォーレの曲、雑に聴き比べ


一週間足らずの間に二回もフォーレ絡みのことを書きましたが、
取り上げた曲以外のフォーレの曲も聴きたくなり、
今日は、バイオリンソナタ第一番と、
歌曲をいくつか聴きました。

ソナタは、あえて愛聴盤ではなく、ずっと聴いていない、
フランチェスカッティのバイオリンとカサドシュのピアノによる
1953年録音のモノラルレコードでまず聴いたのですが、
バイオリンのビブラートが曲に合わない感じがして、第一楽章だけで止めました。

フォーレの曲、雑に聴き比べ_f0405897_20000674.jpg















嫌いだった納豆が最近好きになったごとく、
好みが変わることがあるので、あえて聴いてみたのですが、
やはり好みに合いませんでした。

やっぱり、愛聴盤でないとだめか……。
このCDです。
ドムスカルテットのメンバー二人による演奏で、1987年の録音です。

フォーレの曲、雑に聴き比べ_f0405897_20083529.jpg
















このバイオリン、ビブラートが抑えられ、
渓谷の澄んだ冷たい水の流れを思わせるような音です。
一般的には美音とは言いがたいかもしれませんが、
私はこれが好きです。曲に合っていると思います。
このCDでこの曲を知り、この演奏に慣れ親しんでいるから
ということが大きいとは思いますが。

歌は、世評の高さにつられて何十年も前に買ったまま殆ど聴いていない
パンゼラで聴いてみました。
SPレコードをLPレコードにしたもので、録音は1930年代。
もう大昔ですね。

フォーレの曲、雑に聴き比べ_f0405897_20000508.png















肝心の演奏ですが、私にはやはり、いいと思えません。
録音が古いせいもあるのかも知れませんが、声に魅力がない。
節回しも、まさに「節回し」という感じで、ダサいと言いたくなってしまいます。

楽器の場合は、例えばバッハを奏でるシゲッティのバイオリンのように
美音とは言えない音でも味わい深い場合がありますが、
歌は、声という楽器がいい音を出してくれないと……。

私の感覚に問題があるのかも知れませんが、
なぜ世評が高いのか、私には謎です。

これも愛聴盤で聴き直すと、やはりいい。
カミーユ・モラーヌの二枚のレコードです。

フォーレの曲、雑に聴き比べ_f0405897_20000699.jpg















華美でない美声。
それぞれの曲のよさがストレートの伝わってきます。
名優が演じると、役者の存在が消えて、役の存在だけが意識されるように、
歌手の存在が消えて、歌だけが聞えてきます。

声が無理なく前にしっかり出ていて、言葉が明瞭に聞え、
音量も表情も過剰でなく、上品で、センスのよさを感じさせます。
あえて比喩を用いれば、「ジェットストリーム」の故城達也さんが、
声はそのままにフランス人の歌手に生まれ変わって、
今ここで歌っているかのようです。

もう一つの愛聴盤も少し聴いてみました。
ジャック・エルビヨンによる1970年代半ばの録音。
こちらはCDです。

フォーレの曲、雑に聴き比べ_f0405897_20001045.jpg
















声の美しさ・安定感も言葉の明瞭さもモラーヌにかなり劣りますが、
表情をつけずぎず、あっさりと、しかし丁寧に歌っていて、
これはこれで好きです。

蛇足は、スゼーとアメリンクによる四枚組CD「フォーレ歌曲全集」。
1970年代前半の録音です。

フォーレの曲、雑に聴き比べ_f0405897_19595926.jpg















スゼーの演奏を二、三曲聴いてみましたが、
かつての印象と変わらず、魅力を感じませんでした。
声がこもりがちだし、頻用する溜め息のような発声を含めて表情をつけすぎで、
フォーレの音楽に浸ることができません。
「全集」なのに、実に残念です。

なお、クラシックの女性歌手は、古楽系の人以外、
どの人の歌唱にも私は魅力を感じたことがありません。
いや、言い過ぎました、多少の例外はあります。
しかし、この「全集」のアメリンクは例外ではありません。


Commented at 2023-12-20 22:41
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by chronoir2023 at 2023-12-22 23:39
文箱さん、過分のコメントをありがとうございます。
年明けの手術がうまくいき、そして恢復されますことを
切に切に願っております。
名前
URL
削除用パスワード
by chronoir2023 | 2023-12-20 20:34 | クラシック音楽 | Comments(2)

日々の暮らしの中で感じたことや考えたことを書きます。


by chronoir