『シャツの店』讃
2023年 12月 08日
山田太一さんが亡くなったと知り、追悼の気持もあり、
久しぶりに『シャツの店』を観ました。
全六話を三日間で観ました。
テレビは特定の番組を録画してみる以外は、ほとんど見ません。
録画した番組を観ようとスイッチを入れると、
目当ての画面になるまでにやたらに時間がかかります。
最近の電気製品は、どうでもいい機能がやたらに増えている一方で、
どうでもよくない機能及びデザインは劣化しているものが少ないないように感じられます。
目当ての画面が出るまでの間に、
その時に流れている放送がどうしても出てきてしまいます。
がなり立てる声、大して面白くもないことにしてみせる笑い、
事実を伝えない報道、物売りの押しつけがましい口上、
過剰な表情の男性、厚化粧の女性、
ほぼ100%不愉快極まりない声と画像に、少しの間とはいえ、
耐えなければなりません。
それはさておき、
auチャンネルに加入していて、
気に入った番組を録画してくり返し観ています。
山田太一脚本のドラマは、そこから録画して
かなりな枚数のDVDになっています。
『男たちの旅路』もいいですが、
強く惹かれる回と、あまり見たくない回にわかれます。
『高原にいらっしゃい』を高く評価する人の文章を読んで、
まだ観たことがなかったそれを録画して観始めたことがあるのですが、
第一回を観た後、続きを観る気になれませんでした。
出ている俳優さんのうちの何人かが私にはダメでした。
前から嫌いだったというような人が出ているわけではないのですが、
不思議です。
で、『シャツの店』。
これはもう、傑作中の傑作だと思います。
毎回観るたびに、妻と二人で笑いっぱなしです。
私などは、笑いすぎて涙が出てきます。
温かく、心にしみる笑いです。
飛び切り腕のいいシャツ職人である男がいて、
妻はシャツ作りの手伝いをしています。
手伝いをしながら家事も一人でやっている妻、
ある日、夫への積もりに積もった不満が限界に達し、出て行ってしまいます。
夫は平気を装うもの、実際は困り果てています。
このドラマは、詰まるところ、妻が出て行ってから戻ってくるまでの話です。
それだけの話をこれだけ内容のあるドラマにしてしまう山田太一、
いやはや、並の才能ではありません。
主役の鶴田浩二は、これが遺作になったそうです。
最後にこの役ができた鶴田浩二、仕合わせな人だったと思います。
そしてまた、鶴田浩二が闘病しながらこのドラマの主人公を演じ切ってくれたことは、
私を含め、このドラマを愛する人にとって、実に仕合わせなことでした。
鶴田浩二がカラオケバーで自分のかつてのヒット曲「傷だらけの人生」を
歌う場面があります。
実に嬉しそう。
鶴田浩二という人をもともとよく知らないし、
特別な興味があるわけでもないのに、
スターである自分の持ち歌をドラマの登場人物の一人として、
多少照れくさそうに、でも実に嬉しそうに歌っている鶴田浩二を見ていると、
なぜかこちらまで嬉しくなってきます。
嬉しくなって、笑ってしまいます。
ドラマの主人公と鶴田浩二が過不足なく一致して見え、
こちらは、主人公と鶴田浩二の双方に同一化してしまうからだと思います。
それほど、この人のこの人ならではの演技は素晴らしい。
頑固さと、可愛らしさと、哀愁。
演技にも素にも見えるその独特な感じが何とも言えない味になっているのです。
なにしろ、頑固な職人なのに、酔っ払うと、スケベおやじに豹変し、
ホステスの胸をさわって叱られても平気でまた触る鶴田浩二。
それもが素にも演技にも見えるのですから、なんともなんとも。
美保純の怪演が、また凄い。
これは、美保純以外には誰もやれないのではないかと思わせられるほど
ハマっています。
そう、美保純に限りません。
平田満、八千草薫、佐藤浩市、杉浦直樹、井川比佐志、
といった主要登場人物の全員が、
この役はこの人でなくっちゃ、と思わせる演技をしています。
脚本、演出、俳優、そしてたぶん時代、が揃うと、
これほどのものができるのだと、あらためて思います。
さすがの山田太一も、これほどの作品は二度と書けなかったのではないでしょうか。
ああ、見たいなあ。
AU何とかってのは有料でしょうね。だめか、、。
AU何とかってのは有料でしょうね。だめか、、。
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saheizi-inokoriさん、コメントをありがとうございます。
auチャンネルは有料で、いろいろなチャンネルを視聴できるのですが、
いつ『シャツの店』をやってくれるのか予想がつきません。
DVDは市販されていますが、NHKスクエアのネット販売で6600円。
高いような、安いような、微妙な値段です。
auチャンネルは有料で、いろいろなチャンネルを視聴できるのですが、
いつ『シャツの店』をやってくれるのか予想がつきません。
DVDは市販されていますが、NHKスクエアのネット販売で6600円。
高いような、安いような、微妙な値段です。
「シャツの店」のご感想、同感です。
また、「男たちの旅路」も、残念ながら当たり外れあり、も納得です。
加えて「高原へいらっしゃい」への抵抗感も、同じ思いでした。
好みが結構似ていると感じ、ついコメントしてしまいました。
また、「男たちの旅路」も、残念ながら当たり外れあり、も納得です。
加えて「高原へいらっしゃい」への抵抗感も、同じ思いでした。
好みが結構似ていると感じ、ついコメントしてしまいました。
ご丁寧にありがとうございます。
ソレは私には残念ながら高いです。
ソレは私には残念ながら高いです。
小言幸兵衛さん、コメントをありがとうございます。
同好の士の存在を知って、嬉しいです。
小言幸兵衛さんのブログ、共感を覚えることが多く、
ふと我に返ると、そうだそうだと頷きながら拝読していることがあります。
同好の士の存在を知って、嬉しいです。
小言幸兵衛さんのブログ、共感を覚えることが多く、
ふと我に返ると、そうだそうだと頷きながら拝読していることがあります。
saheiziさん、こんばんは。
NHKで昔の良質なドラマを夜中にでも再放送してくれればいいのにと思うのですが、
それをやるとDVDが売れなくなるので、やらないのでしょうね。
受信料を払っていることを考えると、6600円は二重徴収をされるようで
どうも納得しがたく感じます。
そんなことを言いつつ、何年か前に『イキのいい奴』のDVDを続編を含めて
大枚をはたいて買ってしまったことがあります……。
NHKで昔の良質なドラマを夜中にでも再放送してくれればいいのにと思うのですが、
それをやるとDVDが売れなくなるので、やらないのでしょうね。
受信料を払っていることを考えると、6600円は二重徴収をされるようで
どうも納得しがたく感じます。
そんなことを言いつつ、何年か前に『イキのいい奴』のDVDを続編を含めて
大枚をはたいて買ってしまったことがあります……。
by chronoir2023
| 2023-12-08 21:39
| テレビドラマ
|
Comments(6)






