『星を継ぐもの』とクレーターの衝撃


昨日の「クレーター、クレーター」の続きです。

「クレーター、クレーター」というタイトルは、
語呂が似ているというだけの理由で
70年代末の米映画『クレイマー、クレイマー』をもじったのですが、
今見るとかなり無理があったように感じられます。
とはいえ、今さら変えるのは、さらにみっともないのでそのままにして、
今日は「その2」とはせず、新たにタイトルを付けました。

因みに、その映画のその邦題、もじり下手の私が言うのも何ですが、
これでよかったのだろうかと思ってしまいます。
原題の『Kramer vs. Kramer』は納得のタイトルですが、
昔この映画を見た時、見終わっても、この邦題の意味が分かりませんでした。
しかも、今や「クレイマー」と言えば、
今を時めく「claimer」と紛らわしく、邦題は、
「その電話、要注意だよ」
「なんで?」
「クレイマー、クレイマー」
「そうなの?!、どうやってなだめよう……」
というような会話を思い浮かべてしまいそうです。

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さて、自分が撮った月の写真でクレーターを見て受けた異様な感じは、
この夏に読んだある小説に関係していたことに気づいたのですが、
その小説は、ジェイムズ・P・ホーガンの『星を継ぐ者』というSF小説でした。

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その少し前、dマガジン内の週刊誌のどれかで、
その訳本が104も版を重ねていることを知り、
そんなに重版しているなら、面白いに違いない、
タイトルは聞いたことがあるようなないようなだが、
それほど読まれている本を読んでないのもちょっと何だし、
読んでも損はないだろうと、立ち読みも図書館で借りることもせずに、
ネットで注文して購入しました。

届いた本は、104版の後に出た新版の初版でした。

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読み始めると、「プロローグ」が期待を持たせる内容なのに、
そのあとは、何だか会議みたいなことばかりやっていて、あまり面白くない。
理詰めっぽい話がやたらに出てきて、こういうのがSFファンには受けるのだろうか、
こんな読みにくい本が104版まで出て、さらに新版が出るとは、
日本のSFファンの読書力というのは凄い、などと皮肉交じりに感嘆する始末。

しかし、途中からだんだんと引き込まれ、
結局一週間足らずで読み終えました。
104+1版には、それでもびっくりですが、
面白かったことは間違いなく、あるという続編数冊も
そのうち読もうという気にさせるだけの魅力がありました。

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月面調査隊が、月で宇宙服を着た男性の遺体を発見します。
そして、その遺体、5万年以上前のものという測定結果が出ます。(50頁)

この小説は、ミステリー小説仕立てになっており、
なぜ5万年以上前に月に人間がいたのかをはじめ、
数々の謎が提示されます。

最後にそれらの謎を解く説が示されるのですが、
それは、意外で、なおかつ、説得力のある説で、
この小説、凄い、と思わせられます。

五万年余り前、太陽系内の現在は存在しないある惑星内で
二大国間の戦争が起きます。
極限状況といいうる特殊な状況にあるがゆえに起こった戦争です。
双方ともすでに月に進出しており、
月から惑星に、惑星から月に、敵目がけて核爆弾を放ちます。

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この小説は、月の表と裏では表面の岩石の厚さなどが異なるという事実を
うまく利用しています。

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小説内では、現在月の表側に見られるクレーターは、
上記の戦争の遥か以前に隕石落下でできたものと、
上記の戦争で核爆弾によってできたものとがある、
ということが明らかになります。

 われわれの調査によって、表側のいくつか
 は核爆発によるものであることが判明した。
 〔中略〕現在までに二十三のクレーターが
 核爆弾によるものと断定され、なお今後の
 調査に待つべきものは相当数に上る。(157頁)

月の裏側のことなど、いろいろ書きたいところですが、
内容にある程度以上踏み込むと、どうしてもネタバレになってしまうので、
ここまでにとどめます。

私が一週間ほど前、上弦の月を撮影し、
図らずも月のクレーターをはじめて意識的に見たとき、
無意識ながら、3か月ほど前に読み終わった小説が
私の頭にあったようなのです。
そうではければ、光と陰によって浮かび上がるそれらが、
私の目に、生々しく見えるにとどまらず、何かこう、
おぞましいもののように見えたははずはないと思うのです。

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不思議です、読んでいるときには、
クレーターは文章中に出てくる用語の一つに過ぎなかったのです。
それが、今では実感のごときものを伴うものにかわりました。

それにしても、たった3か月前に面白く読んだ本を半ば忘れていた私。
いろいろと怖くなります。
気分はトホホです。


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by chronoir2023 | 2023-11-26 21:35 | 読書 | Comments(0)

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