今日は花を二つ知りました。


今日も午前中猛暑のなか、買い物に出かけました。
空が相変わらずきれいなので、見上げながら歩き始めましたが、
今日は「何を見ても何かに見える症候群」が発現せず、
それらしいものは見えませんでした。

見上げるのに飽きて地上に目を移すと、
大きな花が目に飛び込んできました。
いつも曲がる小道の角、舗装されずに残ったわずかなスペースに
雑草が所狭しと生い茂っているのですが、
そこに大きな花が一輪、これ見よがしに咲いているのです。

今日は花を二つ知りました。_f0405897_15132370.jpg















同じ茎からつぼみがいくつも出ているのですが、
咲いているのは一つだけ。

道ばたの雑草にしては、大きく派手で、かなりきれいです。
名前が分かりません。
ハイビスカスに似ていますが、南国風ではなく東洋風の感じがします。
たまたま知っている立葵にも似ていますが、
全体の姿があの長身とは異なります。

今日は花を二つ知りました。_f0405897_15132226.jpg











帰宅してから調べたら、芙蓉でした。
芙蓉と葵は花がそっくりということで、違いを説明しているサイトがいくつもありました。
葉の形状から、私が今日見たのは芙蓉だと分かりました。

半世紀以上も生きてきて、葵も芙蓉も名前は知っていましたが、
どんな花なのか、知りませんでした。
これまでにも目にしていたはずですが、気に留めたことがありませんでした。
何かに見えるものが空になかったせいで、芙蓉を知りました。

さらに地上を眺めながら歩いて行くと、
夏草が生い茂っている空き家の庭に
見たことがない花が咲いていました。

今日は花を二つ知りました。_f0405897_15132388.jpg












写真だとわかりにくいですが、芙蓉とは異なり、
とても小さな花です。
芙蓉が手のひらサイズで、こちらは指先サイズ。

妻は実家(農家です)の庭の草取りをする際に何度も見ていると言うのですが、
名前は知らないとのこと。
帰宅後ネットで「白くて中央が赤い小さな花」で検索したら、
出てきました。

なんと、その名は屁糞葛(ヘクソカズラ)。

ジャパンナレッジの<デジタル大辞泉>によると、
古名は「クソカズラ」。
「草やぶに生え、全体に悪臭がある」とのこと。
ただし、『山野草ポケット図鑑』(菱山忠三郎、主婦の友社、1990年)には、
「葉や茎、花、実をもんでかぐといやなにおいがある」が、
「さわらなければにおいはない」とあります。
今日は花を二つ知りました。_f0405897_15132379.jpg


















確かに、近づいても、怪しい匂いは漂ってきませんでした。
私は鼻がきく方なので、確かです。

ネットであれこれ見て、『万葉集』にそれを使った歌があることもわかりました。
高宮王(たかみやのおほきみ)のこの歌です。

 皂莢(そうきょう)に延(は)ひおほとれる屎葛(くそかずら)
           絶ゆることなく宮仕(みやつか)へせむ
                  (『万葉集』116-3855)

「皂莢(マメ科の落葉高木サイカチ)に這うようにまとわりついているクソカズラのように
自分もずっと宮仕えを続けたいものだ」というような意味でしょう。

ジャパンナレッジの<小学館 全文全訳古語辞典>によると、
「クソカズラ」は、つるが長く延びることから、
「絶ゆることなし」を導く序詞の中で使われるとのこと。

歌に使われたのは、悪臭ではなく、つるのゆえでした。
いや、そうでもないかも……。
なんせ「糞葛」ですから、自虐が入っているものと思われます。
ウケねらい、ということ? 高宮王さん、なかなかやりますね。

という次第で、今日は花を二つ知りました。
空に劣らず、地上も面白い!


名前
URL
削除用パスワード
by chronoir2023 | 2023-09-02 17:06 | 生き物 | Comments(0)

日々の暮らしの中で感じたことや考えたことを書きます。


by chronoir