ちょっとびっくり「雨ニモマケズ」


この二年ほどで、島田裕巳さんの本を何冊か読みました。
『葬式は、要らない』が最初でした。

島田さんは、びっくりするほどの頻度で本を出していて、
そのせいか、これまたびっくりするほどいい加減な記述が散見されるのですが、
読みものとして面白く、自分の知らないことがたくさん書いてあるので、
ついつい読みたくなってしまいます。

まず図書館で借りて読み、再読しそうな本は購入するというパターンです。

購入した本の中に『八紘一宇』(幻冬舎新書、2015年)があります。

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https://www.yodobashi.com/product/100000086600333849/

興味深い内容が多いのですが、多すぎて、読んだ後にほとんど何も残らないのが悔しく、
そのうち再読しようと思って購入しました。

昨日、第3章の「宮沢賢治の法華文学」を再読しました。

宮沢賢治についての私の知識は乏しいのですが、
それでも、「雨ニモマケズ」ぐらいは知っています。
ただ、覚えているのは、出だし(雨ニモマケズ/風ニモマケズ)と
最後(サウイフモノニ/ワタシハナリタイ)ぐらいです。

この詩について、いろいろ書いてあって、面白く読みました。
そのいろいろのうちの二つを、ここで紹介しようと思います。

まず、この詩の中の「一日ニ玄米四合」について。

この詩には、こういう箇所があります。

 一日ニ玄米四合ト
 味噌ト少シノ野菜ヲタベ

昭和22年にこの詩を国定教科書『中等国語一』に掲載する際、
この箇所の「玄米四合」を「玄米三合」に変え、
その二年後には「玄米四合」に戻したとのこと。

さすが日本政府、改竄はお手のもの。
この食糧難の時代に「四合」は贅沢、変えてしまえ。
さてと、少し落ち着いたから、戻してしまえ。
というわけです。

確かめてみると、四合の米は、山盛り八杯ほどになるらしい。

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それに加えるのは「味噌ト少シノ野菜」だけとはいえ、
必要最小限というニュアンスで書かれていてそれですから、
ちょっとびっくりです。

当時(昭和6年)の日本人はこんなに米を食べたということでしょう。
驚きです。
もっとも、当時の日本人から見たら、
現在の日本人の食生活こそ驚きでしょうが。

もう一つ面白かったのは、この詩には続きがあったということ。

島田さんが言及しているとおり、「青空文庫」を見ると、
こうなっています。

〔前略〕
サウイフモノニ
ワタシハナリタイ

南無無辺行菩薩
南無上行菩薩
南無多宝如来
南無妙法蓮華経
南無釈迦牟尼仏
南無浄行菩薩
南無安立行菩薩

https://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/45630_23908.html

何だこれ? という感じですが、
島田さんによれば、
これは、かなり簡略化されているとはいえ、
日蓮の「本尊曼荼羅」を真似たものであるとのこと。

実物は、縦書きで、中心の「南無妙法蓮華経」に対して、
左右は字下げがされるとともに、小さい文字になっています。

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山梨)直筆文にみる宮沢賢治の生涯 県立文学館で記念展
https://www.asahi.com/articles/ASMB72FSBMB7UZOB001.html

胎蔵界曼荼羅と金剛界曼荼羅は見聞きしたことがありますが、
本尊曼荼羅は知りませんでした。

現存する一番大きい本尊曼荼羅がこれ。
私は全く知りませんでしたが、結構有名なもののようです。

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臨滅度時本尊 日蓮の臨終時に掲げられたという伝承のある十界曼荼羅
https://ja.wikipedia.org/wiki/大曼荼羅

島田さんによれば、本尊曼荼羅とは、
「日蓮が、佐渡に流罪になったときから書き著すようになった」もので、
「『南無妙法蓮華経』の題目を中心にその周囲に、さまざまな仏や菩薩、
あるいは神々の名を記したもの」であり、
「日蓮宗では、これを本尊としてきたことから、『本尊曼荼羅』と呼ばれる」
とのこと。(54頁)

宮沢賢治は、日蓮宗の熱心な信者で、
日蓮主義の在家信徒団体「国柱会」の会員でした。

島田さんによると、宮沢賢治の文学の愛好家は、
賢治の法華経信仰や国柱会との関わりを無視する傾向にあり、
なかには、賢治にキリスト教信仰を見出そうとする研究者さえいるとのこと。

いろいろと考えさせられます。















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by chronoir2023 | 2023-08-22 19:58 | 読書 | Comments(0)

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