ちょっとびっくり「雨ニモマケズ」
2023年 08月 22日
この二年ほどで、島田裕巳さんの本を何冊か読みました。
『葬式は、要らない』が最初でした。
島田さんは、びっくりするほどの頻度で本を出していて、
そのせいか、これまたびっくりするほどいい加減な記述が散見されるのですが、
読みものとして面白く、自分の知らないことがたくさん書いてあるので、
ついつい読みたくなってしまいます。
まず図書館で借りて読み、再読しそうな本は購入するというパターンです。
購入した本の中に『八紘一宇』(幻冬舎新書、2015年)があります。
https://www.yodobashi.com/product/100000086600333849/
興味深い内容が多いのですが、多すぎて、読んだ後にほとんど何も残らないのが悔しく、
そのうち再読しようと思って購入しました。
昨日、第3章の「宮沢賢治の法華文学」を再読しました。
宮沢賢治についての私の知識は乏しいのですが、
それでも、「雨ニモマケズ」ぐらいは知っています。
ただ、覚えているのは、出だし(雨ニモマケズ/風ニモマケズ)と
最後(サウイフモノニ/ワタシハナリタイ)ぐらいです。
この詩について、いろいろ書いてあって、面白く読みました。
そのいろいろのうちの二つを、ここで紹介しようと思います。
まず、この詩の中の「一日ニ玄米四合」について。
この詩には、こういう箇所があります。
一日ニ玄米四合ト
味噌ト少シノ野菜ヲタベ
昭和22年にこの詩を国定教科書『中等国語一』に掲載する際、
この箇所の「玄米四合」を「玄米三合」に変え、
その二年後には「玄米四合」に戻したとのこと。
さすが日本政府、改竄はお手のもの。
この食糧難の時代に「四合」は贅沢、変えてしまえ。
さてと、少し落ち着いたから、戻してしまえ。
というわけです。
確かめてみると、四合の米は、山盛り八杯ほどになるらしい。
それに加えるのは「味噌ト少シノ野菜」だけとはいえ、
必要最小限というニュアンスで書かれていてそれですから、
ちょっとびっくりです。
当時(昭和6年)の日本人はこんなに米を食べたということでしょう。
驚きです。
もっとも、当時の日本人から見たら、
現在の日本人の食生活こそ驚きでしょうが。
もう一つ面白かったのは、この詩には続きがあったということ。
島田さんが言及しているとおり、「青空文庫」を見ると、
こうなっています。
〔前略〕
サウイフモノニ
ワタシハナリタイ
南無無辺行菩薩
南無上行菩薩
南無多宝如来
南無妙法蓮華経
南無釈迦牟尼仏
南無浄行菩薩
南無安立行菩薩
https://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/45630_23908.html
何だこれ? という感じですが、
島田さんによれば、
これは、かなり簡略化されているとはいえ、
日蓮の「本尊曼荼羅」を真似たものであるとのこと。
実物は、縦書きで、中心の「南無妙法蓮華経」に対して、
左右は字下げがされるとともに、小さい文字になっています。
山梨)直筆文にみる宮沢賢治の生涯 県立文学館で記念展
https://www.asahi.com/articles/ASMB72FSBMB7UZOB001.html
胎蔵界曼荼羅と金剛界曼荼羅は見聞きしたことがありますが、
本尊曼荼羅は知りませんでした。
現存する一番大きい本尊曼荼羅がこれ。
私は全く知りませんでしたが、結構有名なもののようです。
臨滅度時本尊 日蓮の臨終時に掲げられたという伝承のある十界曼荼羅
https://ja.wikipedia.org/wiki/大曼荼羅
島田さんによれば、本尊曼荼羅とは、
「日蓮が、佐渡に流罪になったときから書き著すようになった」もので、
「『南無妙法蓮華経』の題目を中心にその周囲に、さまざまな仏や菩薩、
あるいは神々の名を記したもの」であり、
「日蓮宗では、これを本尊としてきたことから、『本尊曼荼羅』と呼ばれる」
とのこと。(54頁)
宮沢賢治は、日蓮宗の熱心な信者で、
日蓮主義の在家信徒団体「国柱会」の会員でした。
島田さんによると、宮沢賢治の文学の愛好家は、
賢治の法華経信仰や国柱会との関わりを無視する傾向にあり、
なかには、賢治にキリスト教信仰を見出そうとする研究者さえいるとのこと。
いろいろと考えさせられます。
by chronoir2023
| 2023-08-22 19:58
| 読書
|
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