ホラー電車に乗った夜のこと
2023年 08月 12日
今日、あることが起こって、30年以上前のある夜のことが思い出されました。
残業残業の毎日で、その日も終電近くの電車に乗りました。
席は埋まっており、立っている人がぱらぱらという状態で、
私はドアのそばに立ちスペースを確保しました。
しばらくして、何かの拍子にふと目を上げた瞬間、
少し離れて立っている人の顔が目に入ったのですが、
思わず声を上げそうになりました。
その男性は、顔の半分がぐしゃっと潰れていたのです。
事故や何かで顔が損傷して修復しきれないことはあるでしょうし、
生まれつき極端に変わった顔をしている人もいるでしょうが、
そういう次元の顔ではなく、とにかく、顔の半分がぐしゃぐしゃなのです。
大丈夫なのか、この人は。
周りの人は、驚かないのか。
私は周囲を盗み見しました。
なんと、次に見た人の顔も、同じ側がぐしゃぐしゃなのです。
驚きました。何が起こっているのか分かりませんでした。
車内は、いつもと変わらず平穏です。
さらに私は、他の人たちの顔を次々に盗み見しました。
目にした顔全て、片側がぐしゃぐしゃでした。
恐怖を感じました。腰が抜ける思いでした。
夢? 何かの悪い冗談?
しかし、そんな冗談などあるはずがありません。
頭が混乱する中、やっと気づきました。
問題が起こっているのは、乗客の顔ではなく、
私の目なのだと。
私の見え方がおかしくなっているのだと。
外が真っ暗な箇所にさしかかり、
ドアの窓に映る自分の顔を恐る恐る見ました。
果たして、片側がぐしゃぐしゃでした。
新たな恐怖に襲われました。
あまりの忙しさに、ついに目が限界に達し、壊れてしまったのか、
明日からどうすればいいのか、やりかけの仕事はどうなるのか……。
怖くて怖くて、人の顔を見ないようにして時をやり過ごし、
最寄り駅について電車を降りました。
駅から歩いて家に着き、シャワーを浴び、コンタクトレンズを外し、
そして寝たことは間違いないはずですが、
どのようにそうしたのか全く覚えていません。
朝起き、コンタクトレンズを入れ(入れないと両目で0.1未満です)、
恐る恐る鏡を見ると、普通の顔でした。
ほっとしました。
過労のせいで一時的にああなっただけだと思うことにしました。
それからか何年か経ってからです、
それが閃輝暗点の症状だったのだと分かったのは。
視野の一部が一時的に欠けるので、
人の顔も鏡に映った自分の顔も半分がぐしゃっと潰れているように見えます。
視野が欠けてしまい、その部分が見えてないので、そのように感じられるのです。
閃輝暗点は、今もときどき起こります。
半年起こらないこともあれば、
1週間に2、3回起こることもあります。
30分程度でもとに戻ることが経験上分かっているので、
さすがにもう驚きません。
視野が欠けた状態ではできないことが、できないだけのこと。
とはいえ、その症状が起こっているときに鏡を見るのは今でも怖くて嫌です。
現在は、ああ、また起こっちゃったよ、
30分何もできないよ、とぼやくだけのことですが、
何も知らなかった、初めてのあの夜は、本当に怖かった。
ホラー電車に乗り込んだかのようでした。
今日、数ヶ月ぶりにその閃輝暗点が起こり、
恐怖の夜を久しぶりに思い出しました。
by chronoir2023
| 2023-08-12 21:27
| 不思議な出来事
|
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