クロトキを見た日のこと


1980年代後半から90年代初めにかけて、

バードウォッチングにはまっていて、

休日になるとクルマで鳥を見に出かけたものです。

よく行った場所の一つが、多摩川と大栗川が合流する辺り。

堤政橋と関戸橋に挟まれた河原です。


1991年の12月のことです。

いつものように舗装道路が切れる手前辺りにクルマを停め、

河原に降りていこうとしたそのとき、

遠くの川の中にトキのようなシルエットを発見。


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ええーつ、トキ?

逸る気持を抑えて静かに進んでいくと、だんだん見えてきました。

くちばしの形が特徴的で、やはり、トキです。

講談社学術文庫のマークのあれです。

肉眼でこの形の鳥を見るのは初めて。


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https://kodansha.bookstores.jp/ より拝借


でも、当然と言えば当然の話ですが、

天然記念物のトキではありませんでした。

顔が赤くなくて、黒い。真っ黒。


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携帯している図鑑を見たら、クロトキでした。


その図鑑『野外観察ハンドブック――2 水辺の鳥』四訂版(日本野鳥の会、1983年)に

「まれな冬鳥として水田、湿地等に飛来する。〔中略〕日本に飛来するものの多くは若鳥で、

頭部は灰黒色の羽でおおわれ、翼の先端が黒い」とあります。

羽の先端が黒には見えません。若鳥ではないということになります。


連れだって歩いていたサギと。なぜか今度は見つめ合っている様子。


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写真を撮りながら徐々に近づいていきましたが、

まだかなり距離がある段階で、飛び立たれてしまい、

鮮明な写真が撮れませんでした。


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残念無念。

あっという間に、どこかへ姿を消してしまいました。


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当時はインターネットもなく、自分には野鳥見仲間がいなかったため、

興奮を伝える相手も、情報を交換する相手もいませんでした。


あの年のあの場所でクロトキを見ることが、

ありきたりのことだったのか、とても珍しく幸運なことだったのか、

いまだにわかりません。


残念至極です。



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by chronoir2023 | 2023-07-24 12:53 | 生き物 | Comments(0)

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