クロトキを見た日のこと
2023年 07月 24日
1980年代後半から90年代初めにかけて、
バードウォッチングにはまっていて、
休日になるとクルマで鳥を見に出かけたものです。
よく行った場所の一つが、多摩川と大栗川が合流する辺り。
堤政橋と関戸橋に挟まれた河原です。
1991年の12月のことです。
いつものように舗装道路が切れる手前辺りにクルマを停め、
河原に降りていこうとしたそのとき、
遠くの川の中にトキのようなシルエットを発見。
ええーつ、トキ?
逸る気持を抑えて静かに進んでいくと、だんだん見えてきました。
くちばしの形が特徴的で、やはり、トキです。
講談社学術文庫のマークのあれです。
肉眼でこの形の鳥を見るのは初めて。
https://kodansha.bookstores.jp/ より拝借
でも、当然と言えば当然の話ですが、
天然記念物のトキではありませんでした。
顔が赤くなくて、黒い。真っ黒。
携帯している図鑑を見たら、クロトキでした。
その図鑑『野外観察ハンドブック――2 水辺の鳥』四訂版(日本野鳥の会、1983年)に
「まれな冬鳥として水田、湿地等に飛来する。〔中略〕日本に飛来するものの多くは若鳥で、
頭部は灰黒色の羽でおおわれ、翼の先端が黒い」とあります。
羽の先端が黒には見えません。若鳥ではないということになります。
連れだって歩いていたサギと。なぜか今度は見つめ合っている様子。
写真を撮りながら徐々に近づいていきましたが、
まだかなり距離がある段階で、飛び立たれてしまい、
鮮明な写真が撮れませんでした。
残念無念。
あっという間に、どこかへ姿を消してしまいました。
当時はインターネットもなく、自分には野鳥見仲間がいなかったため、
興奮を伝える相手も、情報を交換する相手もいませんでした。
あの年のあの場所でクロトキを見ることが、
ありきたりのことだったのか、とても珍しく幸運なことだったのか、
いまだにわかりません。
残念至極です。






