成底ゆう子さん讃
2023年 06月 13日

数年前、『涙そうそう~新しい日本の抒情歌ベスト 決定版』
というCDを図書館で借りて聴いたところ、
「涙そうそう」「ハナミズキ」「童神~ヤマトグチ~」を
歌っている人の声に魅了され、その人のCDを買いました。
成底ゆう子さんの『生まり島』です。
頭から聴いていくと、
「涙そうそう」以外は曲が今ひとつに感じられたのですが、
「さとうきび畑」が始まってしばらくして、
思いもかけず、涙があふれそうになり、自分で自分に驚きました。
成底さんの真っ直ぐで清潔で穏やかで美しい声と広がりを感じさせる静かな伴奏。
曲と歌詞と声と伴奏が一体となって、私を襲うのです。
いつの間にか私は父親を沖縄の戦場で亡くした人の気持になっていました。
今でもその曲を流すと、最初の時ほどではありませんが、
ついこの間まで自分の語彙の中になかった「うるうる」という言葉が合う状態になります。
一度電車の中でMP3プレーヤーを聴いていたらこの曲が始まり、
「うるうる」になりかけてしまい、急いで音を止めたことがあります。
電車の中で独りで涙を浮かべている年配男は、
「キモい」以外の何ものでもありません。
私のような60代の男を歌で泣かせてしまうというのは、
ものすごい能力だと思います。
成底さんお一人による『新しい日本の抒情歌ベスト』がぜひ聴きたいのですが、
今のことろ、ないようです。
残念です。
