「名医」の思い出

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30年ほど前、勤務中に目の調子が悪くなり、

当時勤めていた会社のそばの眼科医院に行ったことがあります。

「大学病院の元眼科長だった名医」がやっているとのことで、

先輩社員にすすめられたのです。


結膜炎と診断し、「目薬を出しておきます」と言った後に、

「最近睡眠はどうですか」と訊くので、

「4時間程度の睡眠時間ですね」と即答したら、

「それでは眠れるお薬を出しましょう」と言うのです。

「忙しくて眠る時間がないだけなので、いりません」と即座に断りました。


もともと寝付きが悪いタチなので、

その言葉の半分は本当で、半分は嘘でしたが、それはともかく、

機会があれば漏れなく摑まえて薬を売って儲けよう、という姿勢が見え見えでした。

さすが「名医」!


さんざん勉強して医学部に入り、

しかも私立大学だったりすると大金を費やしたのですから、

モトをとろうという姿勢が身につくのも無理はないとは思います。

でも、そういう姿勢にお付き合いするかどうかは、

顧客であるこちらの判断です。

今も昔も。

そして、これからも。


ちなみに、小林秀雄がある講演の中で、

自分が信頼しているかかりつけの医者の言葉として

今の医者は、病気を治すのではなく、

健康診断で食っている、収入の半分は薬を売ることで得ている、

という主旨のことを、楽しそうに話しています。

半世紀以上前、1970年の講演です。



※『小林秀雄講演 文学の雑感』新潮カセット文庫、1985年

 (2004年にCD版が発売されています)




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by chronoir2023 | 2023-06-03 18:57 | 医療 | Comments(0)

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